Steven Wilson Live at Manchester Academy 1 01/03/2013

広大なマンチェスター大学の敷地にあるManchester Academy 1。
当初は近隣の2で行われる予定でしたが、予想以上に早くチケットが売り切れたようで大きいほうに変更されて追加販売となりました。ソロ・ツアー初の地方都市公演ということで皆さん待ってたんでしょうねえ。続けてこちらもめでたくソールド・アウト。
ここから全てが始まる正真正銘のツアー初日。流石にメンバーもちょいとナーバスになっていたようで、ある意味初っ端ならではの面白い光景が見られました。


外観がめちゃめちゃキレイ(中は普通w)。

どういうセトリのステージ構成なのかサッパリなので、より期待に胸が高鳴ります。ところが、外でバッグ内のチェックを済ませ、人の流れに沿っていざフロアに入って私は思わず「!?」となりました。
何と目の前にズラ〜ッとパイプ椅子(!)が並んでいるのです。後から続いた女性が「Seat??」と呟きました。
前回、スタンディングで「やったー♪」と小躍りしたのも束の間、また観賞スペースを座席にしちゃったのです、あの眼鏡野郎め(#^ω^)
しかし驚いてる暇はありません。自由席なのでベスト・ポジションをゲットしなければ…と、想定していた場所より若干外側になりましたが、7〜8列目右寄りのそこそこの良席をゲット。ほぼギターのガスリー・ゴーヴァンの正面で、残念ながらその後ろのサックス等のテオ・トラヴィスが丸被りで見えない位置なのですが、まあ仕方がない。

とりあえず席も確保出来て、やれやれ…と見回すと、結構おじさん観客率が高い。
いや、過去も踏まえてそれなりにおじさんがいるのはわかりますが、それにしても多い気がします。私の席も見事におじさんズに囲まれてしまいました(まあ、私もおばさんだけど)w
彼らの多くは友達同士で来ていて、開演前はビール片手に大はしゃぎで一抹の不安がよぎるのですが、いざライヴが始まると凄く真剣に見入っていて、そのギャップがまた面白かったりします。

さて、今回も前回同様に開演前の映像とアンビエントな音響が印象的でした。
満月に雲が掛かり通過して、その月面がゆっくりと様々な顔の表情に変化します。とても幻想的で美しいのですが、縮尺がおかしくて楕円になっちゃってるのがビジュアル的に残念でした。
月の顔はやがて例のあいつに変化し、あまりの巨大さに思わずヒイイイ(;´Д`)となりましたが、もっと怖い表情もあったりしたのでまだ良しと思えましたw


見事な楕円形(;´∀`)

しばらくすると照明が1段暗くなり、一瞬歓声が上がります。しかしサウンドチェック等はもう少し続き、やがて音響にギイともギャアともつかない妙な音声が混ざり出しました。その何ともいえない不快な音はじわじわ重なって大きくなり、いよいよそのときが近づくのを意識し始めた頃、ついにドラムのマルコ・ミネマンがステージに現れました。
その後、一斉にメンバー全員が入って速やかに定位置につくと、SW氏が周りを闊歩します。拍手大歓声が沸き起こる中、軽快なドラミングの"Luminol"でライヴはスタートしました。
音質はなかなか良好で、ニック・ベッグスのベース音も冴えています。そしてシンクロするSW氏とゴーヴァンのギターで気分がぐっと高まり、

"Here we all are
Born into a struggle
To come so far
But end up returning to dust !"

よっしゃあああ!!…あ、あれれ??
何とこの後の大事なパートであるアダム・ホルツマンのキーボードが聴こえません。ほんの一瞬、顔をこわばらせてそっちを見るSW氏。しかしメンバー等は慌てず演奏を続け、本来の弾き所と違うのか(?)やや違和感のある音でしたがキーボードも復活して危機は回避されました。
このオープニングから新譜の曲が続いて、2曲目の"Drive Home"。
これは新ギタリスト、ガスリー・ゴーヴァンのソロが凄まじく、またその立ち姿がオーラ全開で、観客全員の視線が彼に釘付けという感じでした。曲が終わるといきなりのスタオベで、SW氏が手を差し伸べて「Guthrie Govan !!」と紹介すると、彼を讃える拍手や声援がひと際高くなりました。
5曲目の"The Holy Drinker"ではSW氏は5弦ベースを担当。なかなか新鮮な図でした。後からベッグスのスティックが加わり重低音に更に厚みが増してカッコよかったです。

中盤に差し掛かると、驚いたことに前回の演出で印象的だったあのカーテンがさーっと降りてきました。
そこにセピア色の、老人の目の映像が映し出され、時計の秒針音がカチコチと響き"The Watchmaker"の始まりを予感させます。老人の暗く澱んだ目は落ち着かな気に動き、ときどき不気味な笑顔の画が差し込まれたりして見る者の不安感を誘うようです。
やがてそれがさっと止み、カーテンの向こうで椅子に座ったSW氏がアコギでイントロを弾き始めます。
背後のブルーの照明がシンプルでとても綺麗でした。

次の"index"を経てカーテンは落ち、ずっと旧作からの曲が続いて、いよいよラストは"The Raven That Refused To Sing"。
SW氏が何も持たずに椅子に座り、横のキーボードにはトラヴィスという、前回の"Get All You Deserve"と同じスタイル。スクリーンにはPVがそのまま流れ、これだけで涙腺が崩壊しかけて、ひたすら聴き惚れていたのですが、まさかのハプニング。
途中でSW氏が1番の歌詞をまた歌ってしまい、次の歌詞に詰まって彼は苦し紛れに\(^o^)/←ほんとにこんなポーズしたんだよw
たびたびMCで「初日のせいか緊張しちゃって…」とか何とか言い訳していましたが、「でもファンタスティックでしょ?」なんてすっとぼける辺りが憎めないというかw
この日は皆さん相当緊張していたようで、ゴーヴァンも"Insurgentes"でちょこっとミスってました。

アンコールは"Remainder The Black Dog"に"No Twilight Within The Courts Of The Sun"のヴォーカル以降を繋げたもの。「お、そう来たか〜」と思いました。結局これは初日だけだったので、ある意味貴重な体験でした。

セットリストはこちら

本日の戦利品。